セントリカ、英国の主要LNGターミナルを17億ポンドで買収しエネルギー安全保障を強化
ビジネス 7 days ago
セントリカによるグレインLNGターミナルの買収は、英国のエネルギー情勢における重要な動きとなった。エナジー・キャピタル・パートナーズと共同で行った17億ポンドの取引により、液化天然ガス(LNG)の輸送・貯蔵に不可欠な国内最大級の施設を確保。セントリカのクリス・オシェアCEOは、特にロシアのウクライナ侵攻で欧州のガス供給が混乱した後、このターミナルが国家のエネルギー安全保障上で極めて重要だと強調した。
英国政府は2030年までにクリーン電力システムを目指すが、オシェア氏は今後数十年間ガスがエネルギー構成の一部であり続けると指摘。風力や太陽光などの再生可能エネルギーが拡大する中でも、ガスは発電量が低下した際の信頼性を提供する。2022年に再稼働したセントリカのラフガス貯蔵施設と新たな買収資産が相まって、需要急増時のバックアップ供給を保証する。ナショナル・グリッドがエネルギー生産から撤退したのは、インフラ維持に注力する方針と合致する。
11億ポンドの負債とセントリカから2億ポンドを調達した本取引は政府の承認待ちだ。発表を受けて同社株は約3%上昇し、投資家の信頼を反映した。一方、エネルギー請求書を巡る紛争や太陽光発電所の恩恵の偏りなどの課題は、エネルギー移行の複雑さを浮き彫りにしている。英国が環境目標と当面の需要を両立させる中、セントリカのLNG投資はエネルギー安定確保におけるガスの持続的役割を裏付けている。